【ワシントンD.C./米国 23日 AFP】白亜紀後期に中国に生息していた「空飛ぶ恐竜」は、複葉機のように、2対の羽で木々の間を飛び回っていた。テキサス工科大学(Texas Tech University)の研究者らが、科学誌「Proceedings of the National Academy of Sciences」にこのような論文を発表した。

 この小型恐竜「ミクロラプトル(Microraptor)」は、四肢に長い羽毛が生えており、鳥類の子孫とされている。コンピューター・シミュレーションでミクロラプトルの飛行パターンを研究したテキサス工科大学のSankar Chatterjee氏とカナダ人のJack Templin氏によると、この恐竜は四肢を翼がわりに木々を飛び移り、飛行可能距離は少なくとも40メートルあったという。「ライト兄弟が1903年に複葉機を発明する1億2500万年前にミクロラプトルは複葉機の概念を体現していたと言える」と論文は述べている。

 ミクロラプトルは、身長77センチ、体重約1キロ。樹上生活を営んでいたとされる。羽毛が生えた長い尾が、飛行を制御し安定性を確保していたとみられる。

 2人の研究は、ミクロラプトルは「両足がおなか寄り、両手が背中寄りに生えている」、つまり四肢を伸ばすと「複葉機」のかたちになるという点で、「トンボのような格好で飛ぶ」というこれまでの推論とは異なっている。「複葉機」型は、四肢を伸ばすだけでグライダー同様の滑空も可能で、筋力を使わないため体力の温存にもなるという。また、トンボ型とは違い、木登りや歩行も可能であるという。

 図は複葉状の羽を持つ翼竜のイメージ。(c)AFP


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