【3月18日 AFP】米インターネット検索大手グーグル(Google)の幹部だったジェームズ・ウィテカー(James Whittaker)氏が前週、グーグルは「広告収入やフェイスブック(Facebook)への対抗意識に取りつかれた企業になってしまった」と同社に対する失望感を自身のブログで公表した。

 米ソフトウェア大手マイクロソフト(MicrosoftMS)に務めていたウィテカー氏は2009年、ソフトウェアエンジニア幹部職を得てグーグルに転職したが、グーグルを辞め、現在は再び古巣のマイクロソフトで働いている。

 ブログでウィテカー氏は、「わたしが情熱を抱いていたグーグルは、社員の革新意欲を奨励し尊重するテクノロジー企業だった。だが、私が去ることになったグーグルは、社から強制された1つの目的だけに集中する広告会社になっていた」と失望感を語っている。

 その目的とは、ソーシャルネットワーク市場の王座を勝ち取ることだったという。同市場の王者はフェイスブック。一方、グーグルはソーシャルネットワーク市場に「Google Buzz」や「Google Wave」といったサービスを提供したものの、大きくつまずいていた。

「そこでラリー・ペイジ(Larry Page)自らが、このつまずきを建て直すために指揮権を執った」と、ウィテカー氏は、昨年のグーグル共同創設者ラリー・ペイジ氏の最高経営責任者(CEO)就任について述べる。

「ソーシャル(サービス)が最重視され、『グーグルプラス(Google+)』という名の企業使命になった」。動画サイト「ユーチューブ(YouTube)」などの人気サービスに、SNSのグーグルプラスを連携させることに事業の重点が置かれた。

「寓話のウサギのように、十分に差をつけたと確信したグーグルがソーシャル(サービス)の夢から目を覚ますと、広告首位の座が脅かされていたのだ」(ウィテカー氏)

 グーグルは、実験的なプロジェクトを行ってきた「Google Labs」を閉鎖。また、通常業務とは異なるアイデアについて勤務時間の20%を従業員に充てさせる会社方針もないがしろにしたという。

 Google+の開発にも関わったウィテカー氏によれば、フェイスブックへの対抗馬としてGoogle+は何の成果も達成していないという。「結果的に、(グーグルの主張するようには)ネットの共有サービスは壊れていなかった。共有サービスはちゃんと動作しており、グーグルがその一員じゃないだけだった」

「金持ちの子どもだったグーグルはパーティーに招かれなかったことを知り、その報復に自分でパーティーを主催した。そのグーグルのパーティーに誰も来なかったという事実は、部屋の中のゾウ(誰もが知っているが口に出したくない話題)になったのだ」とウィテカー氏は述べた。
 
 ウィテカー氏の告白について、グーグル側はコメントを発表していない。(c)AFP