【10月25日 AFP】長らく発売が待ち望まれていた米アップル(Apple)の共同創業者、故スティーブ・ジョブズ(Steve Jobs)氏(享年56)の伝記『Steve Jobs』が24日、ついに書店に並んだ。

 5日のジョブズ氏死去から3週間もたたずに発売となった『Steve Jobs』は、すでに米インターネット小売大手アマゾン・ドットコム(Amazon.com)の電子書籍端末「キンドル(Kindle)」向け書籍のベストセラー・ランキングで第1位となった。

 全630ページから成る伝記の筆者は、米誌タイム(Time)の元編集者のウォルター・アイザックソン(Walter Isaacson)氏。アイザックソン氏が2009年からジョブズ氏に行ってきた計40回のインタビューをまとめたものだ。ほかにもアイザックソン氏が話を聞いたジョブズ氏の家族、友人、同僚、ビジネス上のライバルらの数は100人を超える。

 伝記では、大学を中退したジョブズ氏がスティーブ・ウォズニアック(Steve Wozniak)氏とともに1976年にジョブズ氏の自宅ガレージで最初のアップル・コンピューターを開発した、今ではよく知られたエピソードから、1985年のアップルからの追放、これに続くNeXTコンピュータ(NeXT Computer)設立、ピクサー・アニメーション・スタジオ(Pixar Animation Studio)の前身となるアニメ・スタジオの買収、そして自らが創設したアップルへの復帰などが語られる。

 1996年に再びアップルに復帰してからのジョブズ氏の人生は、疑いなく最も創造性に満ちた時期だった。マッキントッシュ・コンピューターの新シリーズを次々と打ち出し、iPodiTuneiPhoneiPadを世に放った。

 伝記には、ジョブズの輝かしいキャリアに関する秘話も多数、披露されている一方、上司、友人、また夫や父としてのジョブズ氏の、時には不愉快な素顔も明かされている。

■伝記を締めくくるジョブズ氏の言葉

 ジョブズ氏が全てを管理したがる男だった事実は、生前に自他と共に認めている。だが、ジョブズ氏が伝記の内容に口出しすることは一切なかったと、アイザックソン氏は言う。

 ジョブズ氏は、自己評価を執筆者のアイザックソン氏にゆだねようとした。以下は、その伝記を締めくくるジョブズ氏の言葉だ。

「わたしは永遠に不滅な会社を作り上げることに情熱を注いできた。偉大な製品を作る熱意に満ちた人々の会社だ。他のことは、全て二の次だった」(c)AFP/Chris Lefkow

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