【10月26日 AFP】インターネットのドメイン名などを管理する非営利国際組織ICANN(アイキャン、Internet Corporation for Assigned Names and Numbers)は26日、アジア諸言語やアラビア語の文字などを使用できる多言語インターネットアドレス・システムが近々承認され、世界でさらに数百万人のインターネット・アクセスが容易になると発表した。

 韓国ソウル(Seoul)で開かれている6日間のICANN会議の最終日30日に、ウェブサイトのアドレスにおけるラテン系言語の文字による支配の終わりを宣言するという。ピーター・デンゲート・スラッシュ(Peter Dengate Thrush)ICANN会長は、「40年前にインターネットが発明されてから技術的には最大の進歩だ」と記者会見で述べた。

 スラッシュ会長によると多言語アドレス・システムは、30日に開かれるICANNの理事会で全員の承認を得られる見込み。この日は米カリフォルニア大学ロサンゼルス校の研究者たちがコンピューター実験のなかで、インターネットを生み出してから40周年目の翌日にあたる。

 新アドレスシステムへの移行後は、現在アドレスの一部分にしか使えない中国語、アラビア語、韓国語、日本語などの文字がアドレス全体に使えるようになる。

 ICANN理事のロッド・ベックストローム(Rod Beckstrom)氏は、今回の変更はますます増えている非英語圏のインターネット・ユーザーのために意図されたもので、施行は2010年半ばからになると語った。

 アドレス申請は11月から受けつける。「申請の処理にいくらか期間がかかるだろうが、今日世界のインターネット人口16億人のうち半数以上はラテン系言語以外の文字を使用している。今回の変更は、こうした現在のユーザーの半数に必要なだけではなく、将来インターネット利用がさらに拡大することを考えると、さらに多くのユーザーに必要だ」(ベックストローム氏)

 また現在は少数に限られている世界中で共通の「ジェネリック・トップ・レベル・ドメイン」と呼ばれる「.com」や「.org」の部分も、「.post」や「.bank」などもっと柔軟に使えるようになるという。自由度が増えたとしても、例えば「.bank」がつくアドレスの承認を受けることができるのは、実際に認可されている銀行に限られるなど、ユーザーの信頼性はさらに高くなるという。

 ラテン系言語以外の文字アドレスの導入やこうした変更で、アドレスにアクセスする際に打ち込む文字数もこれまでよりも少なくてすむようになる。ストローム氏いわく「世界中で1日に合計600億回から1000億回のタイピング回数を減らすことができる」

 ICANNソウル会議ではまた、サイバー攻撃の脅威についても討議され、ICANN自体の声明として「ドメインネーム・システムに対する脅威はつねに高まる一方だ」と警告をうながす一方で、4月に世界中が警戒したコンピュータワーム、「Conficker」(別名:DownAdUP)」の一件では、米マイクロソフト(Microsoft)やセキュリティー対策ソフト大手、シマンテック(Symantec)など数十の企業や組織のトップレベルのセキュリティ専門家たちとICANNが画期的な連携を行えたと称えた。

 1998年に米政府が設立したICANNは最近、インターネット運営に関する規制を米政府が緩和させて以降、以前よりも自主性を得ている。(c)AFP/Jun Kwanwoo