【10月7日 AFP】次の世界大戦はサイバースペースで起きるかもしれない――国連(UN)の専門機関、国際電気通信連合(International Telecommunications UnionITU)のハマドゥーン・トゥレ(Hamadoun Toure)事務総局長は6日、警鐘を鳴らした。

 トゥレ事務総局長はスイスのジュネーブ(Geneva)で開催されているITU主催の通信見本市「テレコムワールド2009(Telecom World 2009)」で演説し、専門家らがサイバー攻撃撲滅を訴えるなか「次の世界大戦はサイバースペースで起きるかもしれない」と警告した。

 トゥレ氏は、仮にそのような事態となれば「大惨事になるだろう」と指摘し、「(サイバースペースでの戦争においては)超大国などというものが存在しないことを各国に理解してほしい」と強調した。

 また、「サイバー攻撃の影響を受けない国はない」とした上で、基幹ネットワークを失った国は「ただちに機能不全に陥る」と説明した。どの国も商業、金融、医療、緊急サービス、食品流通などにおいてテクノロジーに「非常に依存した」状態であると指摘し、「最大の勝利は、まず戦争を回避することだ」と語った。

 サイバー攻撃で近年最も被害を受けた国に、冷戦後の発展を新技術に託してきたバルト海沿岸の小国エストニアがある。

 2007年、サイバー攻撃が相次ぎ、エストニア政府のウェブサイトは閉鎖、同国の主要企業も混乱に陥った。

 エストニアのユハン・パルツ(Juhan Parts)経済・通信相は「適切な国際協力」が不可欠とジュネーブで訴えた。

■サイバー攻撃撲滅へ国際協力

「サイバー攻撃の脅威を積極的に追跡し防御する」ために今年設立されたIMPACT(International Multilateral Partnership against Cyber Threats)では複数の国が協力関係を結んでおり、ITUによると、IMPACTにはITU加盟国からも37か国が参加し、現在15か国が参加を協議中だという。

 専門家らによると、最大の問題点は、現在のソフトウエアやウェブの基盤技術が、20年前のものと同様のぜい弱性を持っていることだという。スイスの情報セキュリティー企業Wisekeyを設立・運営するカルロス・モレイラ(Carlos Moreira)氏は、サイバースペースのセキュリティーを国際標準レベルまで引き上げるための規制が必要だと語った。(c)AFP/Hui Min Neo