【9月15日 AFP】(写真追加)米インターネット検索大手グーグル(Google)は14日、オンライン上で大手新聞社などが発信するニュースをページをめくるように閲覧できる新技術、「ファストフリップ(Fast Flip)」を公開した。

 米サンフランスコ(San Francisco)で開かれた新興インターネット・サービスのカンファレンス、「TechCrunch50」でグーグルは、実際の雑誌のページをめくる動作と比較して「ファストフリップには不自然な遅れがまったくない」と紹介した。

 グーグルのニュース配信の提携相手は、米紙ニューヨーク・タイムズ(New York Times)、同ワシントン・ポスト(Washington Post)、米誌ニューズウィーク(Newsweek)、英BBCなどから米女性誌コスモポリタン(Cosmopolitan)、エル(Elle)、マリ・クレール(Marie Claire)やIT専門誌のサイトまで30媒体に上る。

 ファストフリップのユーザーは、大きな矢の形をしたポインターを画面上で動かせば次の記事へと移動できるが、そのスピードは通常のウェブページのアップロードに比べて格段に速い。開発したグーグルのクリシュナ・バーラト(Krishna Bharat)氏は「名前の通り、自分が興味のあるページを見つけるまで、本物の雑誌のようにぱらぱらっとたくさんのページに素早く目を通すことができる」と説明する。

 バーラト氏は、グーグルは著作権をめぐり米国内の出版社や新聞社の一部と緊張関係にあるが、ファストフリップからの収益は提携するメディアと折半する仕組みになるだろうと述べた。

 特に新聞社の経営陣らは、グーグルで人気のニュース配信サービス「グーグル・ニュース(Google News)」が、ニュース提供者に何の支払いもせずに、自分たちのサイトにリンクを張っていると非難している。これに対しグーグル側は、逆にニュース配信元のサイトに無料でユーザーを誘導しているのだと主張し、批判に真っ向から対決してきた。

 バーラト氏は、ファストフリップでは「関連広告から得られる収益は提携相手と分割することになるだろう。出版社側も自分たちのサイトに新たな読者を誘い込むきっかけになる」という。またファストフリップによって、ユーザーは記事に速く目を通すことができるようになるため、読む記事の量も増え、出版側の広告収入増大にもつながるという。

 さらにファストフリップは、トピックごと、配信元ごと、閲覧数やおすすめ記事、人気ランキングごとなど臨機応変に対応できるという。友人同士やソーシャルネットワーキングサービス(SNS)のメンバー同士などで記事を共有もできる。グーグルでは携帯電話版も提供するとしている。
 
 ファストフリップは、記事の最初のページだけを表示するため、さらに読みたいユーザーはクリックして配信元のウェブサイトまで行く必要がある。

 現在はファストフリップは試験版として「Google Labsサイト」で試すことができる。

【参考】グーグル Fast Flip試験版(英語)

(c)AFP/Chris Lefkow