【9月11日 AFP】米下院司法委員会で10日、米インターネット検索大手グーグル(Google)が進める書籍全文検索サービスをめぐる公聴会が開かれ、米連邦著作権局幹部はグーグルと一部の著作権保持者らとの和解案について「著作権法の基本に抵触するおそれがある」との懸念を示した。

 グーグルは、書籍をデジタル化し検索や販売を可能とする「グーグル・ブック検索(Google Book Search)」プロジェクトを進めているが、これが著作権侵害にあたるとして、米作家協会(Authors Guild)と米国出版社協会(Association of American PublishersAAP)が2005年、グーグルを提訴した。

 訴訟は、グーグルがデジタル化した書籍の著作権管理などを行う独立機関「Book Rights Registry」の設立費用などとして1億2500万ドル(約118億円)を支払う和解案を提示し、米作家協会らもこれを受け入れる方針を示した。

 しかし、和解案に反対する団体や企業は8月、反グーグル団体「オープンブックアライアンス(Open Book Alliance)」を設立し、和解案への反対意見を提出している。 

 こうした事態について、著作権登録局のメリーベス・ピーターズ(Marybeth Peters)局長は、和解案は、グーグルや和解合意者が、ある書籍を「絶版」と判断すれば、著作権者の許可を得ずに販売できるとするものだと指摘。米国のみならず海外の著作権保持者の法的権利を、長期にわたって侵害する恐れがあるとの懸念を示した。さらに、和解案は、著作権法を管轄する米議会の領域にも踏み込んでいるとの見解を示した。

 これに対し、グーグルのデービッド・ドラモンド(David Drummond)最高法務責任者は公聴会で、ピーターズ局長の見解を否定。電子化した書籍データを通じて米ネット通販大手のアマゾンなどの競合他社も、絶版本の販売が可能となると主張し、理解を求めた。(c)AFP/Chris Lefkow