【8月5日 AFP】「六次の隔たり」という言葉がある。世界中のどの人とでも6人介在させるとつながりができるという仮説だ。米マイクロソフト(Microsoft)が2006年に行った調査は、この仮説が正しいことを示している。

 同社は2006年6月、2億4000万人がMSNメッセンジャーで送信した300億個のインスタント・メッセージを調査した。すると、地球上の任意の2人は平均して6.6人を経由してつながっているとの結果が出た。

「六次の隔たり」仮説が地球規模のソーシャルネットワークで確認されたのは、今回が初めてだという。調査対象の300億個は、地球上の全インスタント・メッセージの半数に当たると同社は推定している。

 同社研究員のエリック・ホルヴィッツ(Eric Horvitz)氏は4日、「世界は小さいことが確認できた。今後数十年以内に、スマート・ネットワークから自動翻訳システムまで、新しいアプリケーションが続々登場して、世界はますます小さくなる。社会のつながりは緊密になり、人間同士の理解は深まるだろう」と語った。

 研究員らは、調査においてメッセージの中身を読んではいないこと、個人を特定できるような情報は削除したことを付け加えた。

■「六次の隔たり」の由来

「六次の隔たり」仮説は、スタンレー・ミルグラム(Stanley Milgram)、ジェフリー・トラバース(Jeffrey Travers)の1969年の研究で導き出された。

 2人は、ネブラスカ州(Nebraska)の住人約300人を無作為に選び、ボストン(Boston)のある人物の写真を渡して「この人物を知っていたらその人の元へこの手紙を送ってください。知らない場合は、知っていそうな人に、この手紙を送って下さい」と依頼した。その結果、多くの手紙は実際には届かなかったものの、届いた手紙では、届くまでに経た人数が平均6.2人だった。

 この結果は科学的な根拠はないものの、演劇や映画、ゲームの題材になったり、また俳優のケヴィン・ベーコン(Kevin Bacon)が2007年にチャリティーサイト「sixdegrees.org」を立ち上げるなど、人々の想像をかき立てている。(c)AFP