【6月14日 AFP】南極の棚氷が失われつつある最大の原因は、海水温の上昇によって棚氷が下側から溶ける「底面融解」とする研究結果が、米航空宇宙局(NASA)のジェット推進研究所(Jet Propulsion Laboratory)と米カリフォルニア大学アーバイン校(University of California, Irvine)が行った南極の棚氷に関する初の包括調査で分かった。14日の科学誌サイエンス(Science)に発表される。

 研究によると、南極では2003年~08年には年間約1億3250万トンの棚氷が底面融解によって失われた。一方、棚氷が端から崩壊し、生じた氷山の形で失われた氷の量は年間約1億900万トンだった。

 調査ではまた、南極の棚氷全体の約3分の2を占める3つの巨大棚氷では、底面融解が15%にとどまっていたことも分かった。融解は沿岸全体で見られたが、その度合いには大きなむらがあった。大陸上の氷床に比べ、棚氷の融解は2倍の速度で進む傾向があるという。

 研究を主導したエリック・リグノット(Eric Rignot)氏は、大陸から押し出される氷河または氷床によって補われるため、「棚氷の融解は必ずしも棚氷の崩壊を意味しない」とした。しかし、南極の複数の地点では棚氷が急速に融解していることから、氷河や大陸全体に影響が出ていることを指摘した。(c)AFP