【6月5日 AFP】沿岸のサンゴ礁保全に取り組む自然保護論者らは、地球温暖化という広範囲の危機に挑むよりも、局所的な「森林伐採」と闘うことをまず考えるべきだとする異色の研究論文が4日、発表された。

 樹木が失われた土地が浸食され、土砂が下流へ押し流されると、沿岸のサンゴは壊滅してしまうこともある。土砂が海水を濁らせ、サンゴの群生が依存する太陽光を遮ってしまうためだ。また、土砂が海底に沈むとサンゴは窒息し、生存のためのエネルギー消費量を強制的に増加させるので、「漂白化」による壊滅のリスクが増大する。

 オーストラリア・シドニー(Sydney)にあるマッコーリー大学(Macquarie University)のジョゼフ・マイナ(Joseph Maina)氏率いる研究チームは、マダガスカルにある4つの河川系を対象に、コンピューターシミュレーションを行った。

 その結果、これらの河川流域では2090年までに、地球温暖化が重大な影響を及ぼすことが分かった。温暖化によって降雨量が減少し、結果として、海への土砂の堆積が減少すると予想されるという。

 だが、「森林伐採による影響は、こういった気候変動による堆積土砂の減少よりも大きい」と、研究チームは論文で述べている。論文の試算によると、マダガスカルでは人間の居住地が拡大して以来、森林伐採によって河川の土砂の量が5倍に増加した。

 土砂の量は、自然林を1~5割回復させることによって、19~68%減らすことが可能だという。新たな植林を行うことにより、「世界で最も重要な生物多様性ホットスポットの1つにおいて、気候変動に負けない持続可能な環境保護の成果が約束される」と論文は述べている。

 国際自然保護連合(International Union for the Conservation of NatureIUCN)がまとめた「レッドリスト(絶滅のおそれのある野生生物の種のリスト)」によると、造礁サンゴの4分の1が絶滅の危機に直面しているという。(c)AFP