【5月28日 AFP】台湾の台北(Taipei)で26日、完成間近の原子力発電所の建設続行の是非をめぐる住民投票は「不公正だ」と抗議する数百人の人びとがデモを行った。

 立法院(国会)前に集まったデモ参加者は、「危険な原子力をやめろ」などと叫ぶと、黄色いボードを一斉に掲げて「STOP」の人文字を作った。

 与党・国民党(Kuomintang)はデモの数日前、完成すれば同国で4か所目となるこの原発を完成させるべきか否かを、全国規模の国民投票で問う方針を打ち出した。

 投票では、たとえ反対票が過半数を超えても、投票率が50%に達しない場合は無効となる。「このような仕組みは不公正」と、デモ主催者の一人はAFPに語った。また、複数の世論調査で、回答者の約70%が原発に反対との結果が出ていることを指摘し、「すでにこれほど多くの市民が危険な原発に反対の声を上げているのだから、政府は(住民投票を実施するよりも)建設計画を破棄すべきだ」とも述べた。

 問題となっている原発は、台北近郊の沿岸地域、貢寮(Kungliao)に建設中のもので、運用する国営台湾電力(Taipower)によると、すでに9割がた完成しており、2015年に稼働予定だ。

 着工は1999年だが、以来たびたび激しい政争の的となってきた。2月には、市民の間で高まる懸念を受けた江宜樺(Jiang Yi-huah)行政院長(首相に相当)が、初めて同原発の是非を問う住民投票実施に言及した。

 一方、台湾電力は新たな原発がなければ台湾は電力不足に陥ると主張している。台湾では、現在稼働中の3か所の原発で、全電力の約20%を賄っている。だが、そのうちの1、2番目の原発と、その他数か所の発電所が、近い将来に閉鎖される予定となっている。(c)AFP