【5月7日 AFP】香港(Hong Kong)でイルカなどの保護活動を行う香港イルカ保育学会(Hong Kong Dolphin Conservation Society)は6日、環境汚染などに対する緊急措置を取らなければ、ピンクイルカとも呼ばれ、絶滅の危険性が指摘されるシナウスイロイルカを失う恐れがあると述べた。

 同学会によると、香港近海に生息するシナウスイロイルカの数は2003年は推計158頭だったが、11年には78頭に減少した。サミュエル・ハン(Samuel Hung)会長は「イルカの保護は政府と香港のすべての人にかかっている。われわれが一致団結して行動を起こさなければ、イルカを失う恐れがある」と訴えた。

 2週間前、死んだピンクイルカの子どもを生き返らせようと、子どもを海面上で支える母親をピンクイルカの群れが助けているところを、香港ドルフィンウォッチ(Hong Kong Dolphinwatch)のツアーガイドが偶然見つけた。この場面はビデオで撮影され、フェイスブック(Facebook)で多くの人々にシェア(共有)された。これがきっかけとなり、イルカウォッチングが観光客に人気となっている香港でのイルカの減少に関する新たな懸念がもたらされた。

 香港ドルフィンウォッチのスポークスマン、ジャネット・ウォーカー(Janet Walker)氏は「イルカの子どもの死因は、汚染された海水中に蓄積され母乳に含まれた毒素だと、われわれは99%確信している」と話し、こうした事例の報告は4月だけでも今回を含め3度あったと説明した。

 シナウスイロイルカは、国際自然保護連合(International Union for the Conservation of NatureIUCN)による、絶滅の恐れのある生物種のレッドリストで「near-threatened(準絶滅危惧)」に分類されている。(c)AFP