【4月1日 AFP】地球温暖化の影響で今後数十年以内に北極圏の氷や永久凍土が溶けて草木が茂り、爆発的に「緑化」される可能性が高いとする研究が、3月31日の英科学誌ネイチャー・クライメート・チェンジ(Nature Climate Change)に掲載された。

 発表されたコンピューターシミュレーションによると、北極の森林面積は2050年までに最高52%増加し、樹木が育つことのできる緯度の限界を指す「樹木限界線」は数百キロメートル北上することになる。アメリカ自然史博物館(American Museum of Natural History)の生物多様性・保全センター(Center for Biodiversity and Conservation)のリチャード・ピアソン(Richard Pearson)氏は声明で「北極における植物の再分布がこれほど広範囲となると、地球のエコシステム全体に及ぶほどの影響が出るだろう」とコメントした。

 北極は近年、地球温暖化の影響が大きい「ホットスポット」となっている。北極の気温は過去25年間で地球全体と比べておよそ2倍上昇した。「これらの影響は北極地域を超え、はるか遠くにまで及ぶだろう。例えば、地上営巣するための開けた土地など、一部の渡り鳥は極地環境に依存している」と、ピアソン氏は語った。

■南極の海氷増加、温暖化による影響か

 一方、南極の海氷は拡大しており、2010年に過去最大を記録している。実はこれが地球温暖化による南極棚氷の融解加速を起因とするものだとの研究が、同じく31日に英科学誌ネイチャージオサイエンス(Nature Geoscience)に掲載された。棚氷から溶け出した冷たい淡水が、より温度の高い海水から氷を保護する役割として作用しているという。

 同論文について、フランスの気候環境科学研究所(LCSE)の研究者、バレリー・マソンデルモッテ(Valerie Masson-Delmotte)氏は、「南極の今後数十年間の氷量を評価する上で非常に大きな示唆を持つ研究」と述べている。(c)AFP