【3月15日 AFP】初期の鳥類の中には、4つの翼を使って空を飛んでいた種もいたとする中国の研究チームの論文が14日、米科学誌サイエンス(Science)で発表された。進化の過程で、後ろ脚にあった羽根は退化し、水かきやうろこを持つ脚へと変化していったという。

 鳥の祖先とされる恐竜の中には、後ろ脚に羽根が付いている種はこれまでにも知られていたが、同じ特徴を鳥類が持っていた証拠は多く発見されていない。今回の発見は、初期の鳥類の後ろ脚にも羽根が生えていたことを示す新たな証拠となったが、この羽根が果たして飛行に使われていたかどうかを疑問視する声も上がっている。

 研究チームは、中国・山東(Shandong)省の天宇自然博物館(Tianyu Museum of Nature)に保管されていた11個の化石標本を新たに分析した結果、後ろ脚の羽根が4つの翼を使った飛行システムの一部として使われていたことを示す証拠を発見したと述べている。

 チームを率いた中国科学院(Chinese Academy of Sciences)・脊椎動物進化与人類起源重点実験室(Key Laboratory of Vertebrate Evolution and Human Origin)の徐星(Xu Xing)氏によると、11個の標本にはカラスより大きくシチメンチョウよりは小さい鳥類5種の化石が含まれる。

 うち1種は「サペオルニス(Sapeornis)」と呼ばれる種で、これまで後ろ脚に羽根はなかったと考えられていた。だが、新たに標本分析を行った結果、後ろ脚のかかと部分に最長5センチほどの羽毛が扇子状に生えていたことが分かった。

 徐氏はAFPに「これらは飛行に関連していたとわれわれは考えている」と語った。原始鳥類の骨はもろく、化石として残りにくいため、今回の発見は「胸躍る」ものだという。今回研究対象となったのは、1億2100万~1億2500万年前の白亜紀に空を飛んでいた鳥類で、恐竜と共存していたと考えられている。

 論文では、後ろ脚の羽根飾りが翼として機能し、空中でのかじ取りに使われていたとされている。

 だが一方で、専門家の中には、後ろ脚の羽根は求愛行動など別の目的で使われていたのではと、今回の発表を疑問視する声も上がっている。(c)AFP/Kerry Sheridan