【3月8日 AFP】カフェインはミツバチをも活発にさせることが明らかになった。7日の米科学誌サイエンス(Science)が掲載した論文によると、カフェインはミツバチの記憶能力や花粉媒介能力を強化するという。

 カフェインは自然界でもコーヒーノキやかんきつ類の花蜜に存在する。カフェインを含む糖液を与えられたミツバチは、花の香りを記憶できる確率が糖液のみを与えられた個体と比べ3倍も高かったという。

 英ニューカッスル大学(Newcastle University)のジェラルディン・ライト(Geraldine Wright)助教授(神経動物行動学)は論文の中で「花から花へ飛び回るミツバチにとって、花の特徴を記憶するのは難しい。われわれは、カフェインが花の場所を覚える助けになることを発見した」と述べている。「カフェイン入りの花蜜を与えられたミツバチは、コーヒーノキの花粉を体に付け、花蜜を求めて他のコーヒーノキを探し回るため、花粉媒介の率が上がる」

■カフェインで記憶力アップ

 カフェインがミツバチの長期記憶に与える影響は非常に大きかった。24時間後に花の香りを覚えていたミツバチの数は通常の3倍、3日後でも2倍だった。

 研究チームはまた、コーヒーノキに加え、グレープフルーツやレモンの花蜜に少量のカフェインが含まれていることを発見。論文を共同執筆した英グリニッジ大学(University of Greenwich)のフィル・スティーブンソン(Phil Stevenson)氏は「カフェインは植物が自衛に用いる化学物質で、ハチを含め昆虫の多くにとっては苦い味がする。なので、花蜜の中に含まれていることを発見したときは驚いた」と語る。「含まれる量はミツバチが味を感じないほど少ないが、行動に影響を与えるには十分な量だ」という。

 スティーブンソン氏は「この研究は、カフェインがヒトの脳に影響を与える基本的なメカニズムの解明の助けになる。人々が勉強中にコーヒーを飲みたがる理由を、ミツバチが説明してくれるとわれわれは考えている」と語った。「ミツバチの習性や嗜好(しこう)性を理解することにより、ミツバチを活性化させて農業や田園地方を守る方法を見いだすことができるかもしれない」

 研究チームはまた、ハチなどの花粉媒介虫の減少により、生物多様性や農業に悪影響を及ぼしているとも警告している。(c)AFP