【2月22日 AFP】中国の環境保護省はこのほど、環境汚染が原因でがん発症率が高い「がん村」が国内に存在することを公式に認めた。国内外のメディアや国民の間ではかねてから「がん村」の存在が注目を集めていたが、中国当局が公式文書でこの表現を使用するのは今回が初めてとみられる。

 急速に経済発展してきた中国では今、産業廃棄物や有害なスモッグを始めとする環境・健康問題をめぐって政府に対する国民の不満が高まっている。

 こうしたなか、環境保護省は今週公表した環境改善に向けた5か年計画の中で、「有毒・有害な化学物質によって、多くの場所で水や大気に深刻な問題が生じている」「一部地域では『がん村』さえ発生している」と指摘した。

   「がん村」の詳細については言及していないが、先進国では使用が禁止されている「有毒・有害な化学製品」が中国では一般的に使用されていることを認め、「人間の健康と生態系に対し、長期的・潜在的な悪影響をもたらしている」と述べている。

   「がん村」という言葉は、具体的な定義がまだないものの、既に1998年にメディアに登場している。国際的には2009年、ある中国人ジャーナリストが国内数十か所の地名を「がん村」と特定する地図を公表したことで内外メディアの注目を集めた。

 2010年には米国の地理学者が、中国当局のウェブサイトやテレビ局などから集めた情報を基に、中国国内に241か所の「がん村」があると発表。一方、米セントラル・ミズーリ大学(University of Central Missouri)に籍を置くリー・リウ(Lee Liu)氏は、非公式な情報も含めると「がん村」は459か所あると指摘している。(c)AFP/Carol Huang