【1月28日 AFP】大都市で発生する熱が、高層の気流の流れを局所的に変えることで、数千キロ離れた地域の気候に影響を及ぼす可能性があることを、米国の研究チームが27日発表した。これは、北半球の一部の地域で、冬期の気温がコンピューターモデルの予測よりも高くなるという、気候変動の長年の謎を解明する鍵になるかもしれない。

  都市部では、石油・天然ガス・石炭を燃やして輸送・暖房・空調などを行う自動車・ビル・発電所などから大量の「廃熱」が発生する。「ヒートアイランド」(都市高温化)として知られるこの現象は、特に夏の猛暑などで、都市部の住民にのみ影響を与えるものと従来考えられてきた。

  米フロリダ州立大学(Florida State University)の研究チームは、大気のコンピューターモデルを使用して、ヒートアイランド現象の影響が予想よりもはるかに遠方にまで及ぶことを指摘した。都市部で集中的に発生した熱は、高層のジェット気流まで上昇し、気流の流れを拡大する。これにより、セ氏1度に相当する熱が、遠く離れた地域にまで運ばれる。同研究チームのモデルでは、カナダ北部からアラスカ、中国北部にわたる広い地域で、秋期・冬期の気温上昇が見られた。この現象が地球規模の気温に与える影響は無視できるほどわずかで、平均してセ氏0.01度の気温上昇に相当する程度だという。

  この研究成果は、英科学誌「ネイチャー・クライメート・チェンジ(Nature Climate Change)」に掲載される。(c)AFP