【11月2日 AFP】世界自然保護基金(WWF)は10月31日、大西洋で捕獲されたクロマグロが2000~10年の間、大西洋まぐろ類保存国際委員会(International Commission for the Conservation of AtlanticTunasICCAT)に報告されないままパナマ経由で他国へ輸出されていたと発表した。

 現在の大西洋クロマグロ漁獲枠は年間1万2900トンで、この漁獲枠が順守されていることを確認するため、大西洋クロマグロ取引は全てICCATへの報告が義務付けられている。

 だが、貿易・税関の公式データによれば2000~10年には約1万4300トンの加工済みクロマグロが取引されているが、これは未加工のクロマグロ1万8700トンに相当する量だと、WWFは指摘。無報告でクロマグロ漁や輸出が行われていたことが確認されれば、違法漁業や環境犯罪に当たるとしている。

 さらにWWFは、ICCATとこの件に関与する船舶の責務を負う国々に対し、速やかに調査を開始するよう求めた。対象となるのは、スペイン、イタリア、モロッコ、チュニジア、トルコなど、該当する期間にICCATの取り決め順守義務を持つ全ての国々だ。

今回のWWF調査で判明したクロマグロ取引のうち、ICCATに報告されていたものは1件もないという。地中海クロマグロ漁のWWF担当者は「この問題に関する調査は今回が初めてだが、結果が氷山の一角にすぎないこは明らかだ」との見方を示した。

 パナマはクロマグロの一大市場である日本向け輸出の主要経由地となっている。(c)AFP