【10月24日 AFP】国連食糧農業機関(Food and Agriculture OrganizationFAO)は23日、数週間以内にアフリカ北西部にサバクバッタの大群が飛来する可能性が高いと発表し、殺虫剤を使って農作物被害を防ぐよう求めた。

 FAOは、アルジェリア、リビア、モーリタニア、モロッコの当局は「バッタの大群の到来を検知し、これを抑制するために野外で行動するチームを待機させる」よう求められているとしている。

 FAOによると、非常に小規模なサバクバッタの群れでも、1日で3万5000人分の食料を食い尽くす。成虫は1日で自分の体重(約2グラム)とほぼ同じ重さの作物を食べることもある。現在チャドで成虫の群れが形成されつつあり、マリやニジェールでも群れの形成が始まりつつある。これらの地域ではこの夏の降雨量が多かったため夏のうちに繁殖でき、数が250倍に膨れ上がったとFAOは説明している。

 飛べるようになったバッタは数千万匹の大群となり、追い風に恵まれれば1日で150キロメートル移動することもある。

■FAOの仲介で多国間の殺虫剤融通

 FAOのバッタ予測担当官キース・クレスマン(Keith Cressman)氏は、「卓越風(ある地域で年間を通じて吹くことが最も多い風向きの風)と過去の事例からみて、バッタの大群は一度形成されればアルジェリア、リビア、モロッコ南部、モーリタニア北西部に飛来する可能性が高い」と言う。「大群ができれば、牧草や、人の生存に最低限必要な天水栽培(降雨のみに依存する農法)の作物が被害を受ける恐れがある。チャド、マリ、ニジェールにとっても脅威だ」

 FAOによればチャドでは今月上旬、殺虫剤の散布によるバッタ抑制策が始まっている。ニジェールでも同様の対策が開始されているが、対策チームの安全確保のため軍隊が護衛する必要があるという。

 FAOはバッタ駆除に有効な殺虫剤の備えを持つアルジェリア、モロッコ、セネガルなどの周辺国に働きかけ、バッタ発生源のマリ、ニジェール、チャドに殺虫剤を贈与する協定の締結を仲介している。FAOによると物資輸送には世界食糧計画(World Food ProgrammeWFP)も協力している。(c)AFP