【9月12日 AFP】かつて氷に閉ざされ、砕氷船しか通行できなかった北極圏の北西航路(Northwest Passage)の航行に、このほどスウェーデンの小型帆船が初めて成功した。地球温暖化で海氷が融解したため実現した。

 スウェーデン船籍の帆船「ベルゼブブ2号(Belzebub II)」(全長9.4メートル)で、カナダ・ノースウェスト(Northwest)準州の北端にあるマクルア海峡(McClure Strait)の通行に成功。カナダ・ニューファンドランド(Newfoundland)島からグリーンランド(Greenland)を経由してカナダ北極圏を抜けた。

 乗組員はベルゼブブ2号を所有するスウェーデン人のエドウィン・ブーレグレーン(Edvin Buregren)氏(35)、米国人のモーガン・ペイセル(Morgan Peissel)氏、カナダ人のニコラス・ペイセル(Nicolas Peissel)氏の3人で、3か月に及ぶ航海の記録はウェブサイト「belzebub2.com」で公開されている。

 3人によると、北西航路の通行に砕氷船以外の船が成功したのは史上初めて。

 今回の航海の目的は、北極圏で急速に進む海氷の融解を記録し、地球温暖化問題を啓発することだという。ウェブサイトには、次のように書かれている。

「新たに開通したこの航路を帆走するわれわれの冒険が、気候変動への関心を高め、人々の行動を大きく変えるささやかなきっかけとなることを願っています。北極の氷は驚くべきスピードで融解しており、それは地球の調和が崩壊しつつあるという明らかな兆候なのです」 

 ベルゼブブ2号は12日、アラスカ(Alaska)州ノーム(Nome)に入港する予定。(c)AFP