【7月3日 AFP】中米パナマの首都パナマ市(Panama City)で開かれている国際捕鯨委員会(International Whaling CommissionIWC)の年次総会は初日の2日、主に南米諸国が提案した南大西洋(South Atlantic)にクジラの禁漁区(サンクチュアリ)を設定する案を否決した。

 総会が始まってわずか数時間後には、捕鯨国と反捕鯨国の対立といういつもの見慣れた光景が始まった。

 現在、南大西洋で捕鯨は行われていないことから、アルゼンチン、ブラジル、南アフリカ、ウルグアイが主導する南大西洋のクジラ禁漁区設定案はクジラ保護の象徴的な意味合いが強い。

 採決結果は賛成が38か国、反対が21か国、棄権が2か国だった。IWCの規則で提案の承認には75%の合意が必要とされていることから否決された。

 IWCブラジル代表時にクジラ禁漁区案を主導し、現在はブラジルのクジラ保護団体に所属するジョゼ・トゥルダ・パラッゾ(Jose Truda Palazzo)氏は、反対票を投じた国々は日本に買収されたと不満を口にした。「ナウルやツバルのような国が捕鯨に関心を持ち、クジラ禁漁区についてちゃんと調べたとは信じがたい。日本に言われたから反対票を入れただけだ」

 一方、環境保護活動家の間にはクジラ禁漁区設定案への支持は広がっているという声もある。前年に英領チャネル諸島(Channel Islands)ジャージー(Jersey)島で行われた総会では、日本など捕鯨支持国が退席したため投票に必要な出席国数を満たせず、クジラ禁漁区設定案の採決は見送られていた。(c)AFP/Shaun Tandon