【4月26日 AFP】北太平洋で目撃された全身が白い成体のシャチの探索に、ロシアの研究チームが次週出発する。

 モスクワ大学とサンクトペテルブルク大学の研究チームは2010年8月、北太平洋のコマンドル諸島(Commander Islands)付近で、この雄のシャチを初めて目撃。海面に高さ2メートルもの背びれがそびえ立つ様子から、「アイスバーグ(氷山)」と名付けた。

「極東ロシア・オルカプロジェクト(FEROP)」のエリック・ホイト(Erich Hoyt)共同ディレクターによると、アイスバーグは12頭からなる群れと行動しており、背びれの大きさから当時少なくとも16歳だったと見られる。

 ホイト氏は、白いシャチの成体の雄を見たのはアイスバーグが初めだとして、「息を飲むほど美しい生き物だ」と感動を語った。 

 FEROP研究チームでは、アイスバーグがアルビノであるかどうか確かめたいとしている。アルビノの固体は遺伝子の異常でメラニンを生成できず、皮膚や毛、網膜、眼球の色がない。視力が弱く、餌を探したり敵から身を守る際に不利益になるため、動物のアルビノの多くは成体になる前に死亡してしまう。

 北太平洋では他にも2頭の白いシャチがカムチャツカ(Kamchatka)半島沖で確認されているが、2頭とも子どものシャチだった。

 研究チームは次週、カムチャツカ沖のベーリング島(Bering Island)から出航し、同海域におけるシャチの集団行動や情報伝達などを研究する計画だ。研究チームによれば、北太平洋のシャチたちは餌となる魚の乱獲や海底油田の開発計画などで生存が脅かされている。(c)AFP