【1月30日 AFP】米テキサス(Texas)州ダラス(Dallas)で、ラジコン飛行機マニアの男性が飛行機に搭載したカメラのテスト撮影を行っていたところ、精肉工場の裏から「血の川」が流れ出ているのを発見し、地元当局が調査に乗り出した。

 ダラス郡保健福祉局のザカリー・トンプソン(Zachary Thompson)局長は、「地元の宝であるトリニティー川(Trinity River)に流れ込んでおり、非常に心配だ。皆が楽しく遊んでいる川に、何かが排出されているのを見たくはない」と述べた。それがブタの血とあれば、なおさらだ。

 発見者の男性は、マニア向けのオンライン・マガジン「sUAS News」に精肉工場からの排水に気付いたときのことをこう語った。「飛行機が撮って来た映像に、真っ赤な血の川が映っていたのを見て『本当に血なのか?』って、がく然としたよ。何であれ心底、気持ち悪かったね」

 問題の汚水排出があったのは、ハムやベーコン、ブリスケット(肩ばら肉)などを製造している「コロンビア・パッキング(Columbia Packing)」の工場。地元で創業99年になる家族経営の工場だが、発見者の男性がダラス市当局に知らせて対策を求めてから、41日間も工場側には何の連絡もなかったことに憤っている。経営一家のジョー・オンドリュセック(Joe Ondrusek)氏は声明で、「市が12月9日に知らせてくれていれば、翌10日には問題を解決できていた」と市当局を責めた。

 また同氏は、ブタの血が流れ出たのは下水管が詰まったためで、排出は故意ではなかったと強調。さらに、市当局が数年前、工場の下水管路に排水の量と含有物質を監視する測定器を設置したはずなのに、とも述べた。

 しかし、19日に連邦当局と州当局が合同で家宅捜査を行ったところ、工場側が意図的に作ったとみられるバイパス管が見つかった。このバイパス管からブタの血や、化学物質を含んだ汚水などが直接、工場の裏手にあるシダークリーク(Cedar Creek)に排出されていた。

 シダークリークは、人気のカヤック・ポイントとして知られる市内のトリニティー・リバーに直接流れ込んでいる。カヤックは同市にとって、年間400万ドル(約3億700万円)規模の目玉観光だ。

 ダラス市は弁護士を通じて、この件について訴訟を起こしたと報じられているが、弁護士の広報担当には問い合わせても今のところ返答がない。(c)AFP