【10月26日 AFP】地球温暖化による気温の急上昇で中国のヒマラヤ氷河が溶解しており、動植物の生息地や観光業、経済発展を脅かしているとする論文が、25日の英学術誌「Environmental Research Letters」に発表された。

 中国南西部は、ヒマラヤ山脈などに計2万3488個、面積にして2万9523平方キロの氷河を抱える。南西部各所には111の測候所があるが、このうちの77%で、1961~2008年の間に急激な気温上昇を観測した。標高4000メートル以上にある14の測候所では、この期間の気温の上昇幅が1.73度と、20世紀の世界の平均上昇幅のおよそ2倍だった。

 中国科学院(Chinese Academy of Sciences)のLi Zhongxing氏率いる研究チームは氷河において、この着実な温暖化傾向に少しでも起因している可能性のある3つの変化を特定した。

 まず、調査対象となった氷河の多くが「劇的に後退」し、面積を大幅に減らしていた。例えば朋曲流域(Pengqu Basin)にある999個の氷河は、1980~2001年の20年余りの間に131平方キロほどの面積を失った。

 また一方で、氷河から溶け出た水がたまってできる氷河湖の面積は、増大していた。

 降雨量や降雪量の変化は顕著ではなかったものの、気候変動モデルによる予測には一致していた。Li氏は「氷河後退の影響は遠くにまで及ぶので、気候変動と氷河の変化、特に降雨量、降雪量との関係を見出すことが不可欠だ」と語った。(c)AFP