【7月13日 AFP】英領チャネル諸島(Channel Islands)ジャージー(Jersey)島で11日に始まった国際捕鯨委員会(International Whaling CommissionIWC)第63回年次総会で、組織の透明性を高め、腐敗の疑いを根絶するための改革を要求する声が上がった。

 開幕会合で議論の中心となったのは、クジラの保護と捕獲をともに監視するIWCに対する改革の是非や方法だった。

 IWCが発足した第2次世界大戦(World War II)後当時、クジラの直面する最大の危険性は数少ないクジラを多くのクジラ工船が追い回していることだった。1986年からの商業捕鯨の一時停止(モラトリアム)は、数種類のクジラを絶滅の危機から救った。

 だが現在、クジラは、船舶との衝突や気候変動、海洋汚染、海洋投棄され漂流する漁網などの脅威にもさらされている。一部代表団は、IWCがあまりに「時代遅れ」で、保護と監視を担うためにつぎはぎだらけになっていると批判している。

■英国が「票買い防止」と「非政府組織の参加」を提案へ

 英環境・食料・農村省のリチャード・ベニヨン(Richard Benyon)政務次官は、AFPの取材に「手続きを近代化する必要がある。現代における国際機関に最低限求められることを提案する」と述べ、英国の策定した案は、「商業捕鯨再開を支持する国と、わが国やフランスのように支持しない国」の両方からの支持を得られるはずだと語った。

 慢性的な機能不全に陥っているIWCは前年、日本が現金や開発支援を使って、カリブ海やアフリカの国々から票を買っているとの英報道を受けて大きく揺れた。ノルウェーやアイスランドとともに、モラトリアム中も大規模な捕鯨を実施している日本政府はこの疑惑を否定しているが、英国は、票買いを防止する対策を提案するという。

 また、IWCの科学委員会の機能を強化する案も検討されている。これにより、非政府組織がより大きな役割を担うようになり、委員会の手続きに迅速に対応できるようになる。

 英国は、デンマークが拒否したことから欧州連合(EU)27か国での採決を見送り、英国単独でIWCに提案する。(c)AFP/Anthony Lucas

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