【4月20日 AFP】米内務省は19日、マサチューセッツ(Massachusetts)州ケープコッド(Cape Cod)沖に洋上風力発電施設を建設する計画を承認した。米国で洋上に風力発電施設が建設されるのは初めて。

 マサチューセッツを拠点とする電力会社ケープ・ウインド・アソシエイツ(Cape Wind Associates)による洋上風力発電計画「ケープ・ウインド・プロジェクト」は、ケープコッド南方沖のナンタケット海峡(Nantucket Sound)に、高さ約135メートルの風力タービン130基を設置する。構想に着手してから10年を経て、今秋にも着工の予定だ。

 風力タービンは独シーメンス(Siemens)がデンマークで製造し、貨物船で米国まで輸送。さらに、特殊船に移し替えてケープコッド南方沖の風力発電施設の建設予定地まで運ぶ。

「ケープ・ウインド・プロジェクト」の構想が浮上したのは2001年。内務省の海洋エネルギー管理・規制・執行局(BOEMRE)が鳥類や魚類、海洋生物など環境面への影響を全面的に精査した結果、洋上風力発電所の建設を認可した。BOEMREによる審査は、「これまでに例のない高レベルの環境・行政規制分析」だったという。

「ケープ・ウインド・プロジェクト」は、建設および風力発電所の稼動・運営によって米国内で約1000人の雇用を創出すると期待がもたれている。

■近隣地域に電力と雇用をもたらしCO2も削減、しかし建設反対運動も

 洋上発電所の建設に備え、ケープ・ウインド・アソシエイツは2010年、米政府とケープコッド沖の海域を毎年8万8278ドル(約730万円)で借り受ける33年間のリース契約を結んだ。さらに、稼動開始後には電力料金収入の2~7%を米政府に支払う。

 BOEMREによると、ハリケーンや厳冬などマサチューセッツ州の厳しい気候条件から想定される工事の遅れも含め、建設には9か月程度かかる見通しだ。

 稼動が開始すれば、ケープコッドとその近くにあるマーサズ・ビンヤード(Martha's Vineyard)島やナンタケット島などの年間電力需要の約75%をまかなうことができるうえ、同州のCO2排出量を年間73万3000トンも削減できるという。

 だが、建設に反対する市民団体「Alliance to Protect Nantucket Sound(ナンタケット海峡保護連合)」のオードラ・パーカー(Audra Parker)代表は、同発電施設の建設をめぐる係争中の訴訟が11件あると指摘して、「(建設推進派が)勝利宣言するにはまだ早い」と述べた。さらにパーカー代表は、発電所を運営するケープ・ウインド・アソシエイツは必要な資金を調達できていないと主張している。

 これに対し、ケープ・ウインド側からのコメントは得られていない。(c)AFP/Karin Zeitvogel