【6月7日 AFP】オーストラリア北部の自然を楽しむ「観光客」が、「カエルバスターズ」と呼ばれる日も近い。同国で過剰繁殖している猛毒性のカエル、オオヒキガエルを退治するため、地元当局が観光客の手を借りることを検討しているのだ。

 北部特別地域ダーウィン(Darwin)市のグレアム・ソーヤー(Graeme Sawyer)市長は、現地のツアー会社に、カカドゥ(Kakadu)湿地帯で夜間オオヒキガエル狩りを行う許可を与えたい意向だという。

 現在、オーストラリアには9200万匹のオオヒキガエルがいると推測される。複数の爬虫(はちゅう)類やカエルが、オオヒキガエルを食べることによって個体数が減り、絶滅の危機にさらされているという。また、野生生物の食糧源も激減している。

 ソーヤー市長はAFPの取材に対し、オオヒキガエルが「壊滅的な被害をもたらしている」と語る。「口に収まるサイズであれば、動くもの全てを食べてしまう。生態系への影響は計り知れない」

 これまで地元の自然保護官らは、観光客による夜間のカエル狩りおよび夜間キャンプのアイデアを却下していたが、オオヒキガエルの繁殖問題はもはや無視できないレベルだという。

 ソーヤー市長は、「複数のツアー会社が、客をカカドゥに5泊ぐらいさせて、夜の散策の間にオオヒキガエル狩りをするアイデアを提案してきた」と語る。「大自然の夜の様子がわかるだけでなく、同時に何かを達成した、人助けをしているという気分も得られるんだ」

 カエルバスターたちには手袋と袋が支給され、地元の作業員らが最終的にガスで殺処分して埋却するという。

 隣接するウエスタンオーストラリア(Western Australia)州では、毎年4週間にわたってオオヒキガエル狩りイベントが開催されており、平均5万匹を駆除して大きな成果をあげている。

 ちなみにソーヤー市長は、「気の弱い人にはあまりオススメしない」と笑う。「まあ、恐怖症を克服するにはいいかもね」

 オオヒキガエルは外来種で、コガネムシの過剰繁殖を防ぐため、1935年にハワイ(Hawaii)から輸入された。頭の後部に毒腺を持っており、ペットや野生動物を死に至らしめる。(c)AFP

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