【5月23日 AFP】国連(UN)が定めた国際生物多様性の日(International Day for Biological Diversity)の22日、英紙ガーディアン(Guardian)は、国連がこの夏に出す予定の生物多様性に関する研究報告書に、企業から罰金をとって自然保護の費用にあてるべきだとする内容が盛り込まれる見通しだと報じた。

 報告書「生態系と生物多様性の経済学(The Economics of Ecosystems and BiodiversityTEEB)」は、主要8か国(G8)と主な新興国が地球規模の研究の必要性を指摘したことを受け、国連環境計画(UN Environment ProgrammeUNEP)の支援を受けて2007年に研究が始まった。

 ガーディアン紙によると、この報告書は自然を世界経済のシステムに組み込まないかぎり、環境はますます脆弱(ぜいじゃく)になり、人類の生存と世界経済は危機にひんすると指摘し、自然開発に厳しい制限を設け、違反した企業に罰金と税金を科すことを提案するという。

■「自然がもたらす商品やサービス」の価値は

 また企業や各国政府には財政的な結果だけではなく、天然資源などの利用状況についても報告を求めるべきだとしているほか、エネルギー・農業・漁業・運輸分野などへの分野への政府補助金の見直しも勧告するという。

 報告書は、農作物の受粉や医薬品原料、肥沃な農地、清浄な空気や水など「自然がもたらす商品やサービス」は、それらをもたらす生物種やその生息地の保護にかかる費用の10~100倍の価値があるとしている。

 UNEPのグリーン経済イニシアティブの指揮をとり、今回の報告書を執筆したインドのエコノミスト、パヴァン・スクデフ(Pavan Sukhdev)氏は同紙に対し、「自然に対する考え方を180度変える必要がある。自然は征服の対象ではなく育むべきもので、人類がその中で暮らすものだとみなすべきだ」と語った。(c)AFP