【9月20日 AFP】グリーンランドの氷床は過去1万年以上にわたり、従来考えられていたよりも敏感に気温の上昇に反応していたという研究報告が16日の英科学誌「ネイチャー(Nature)」に発表された。

 北半球では9000~6000年前に温暖な時期があったにもかかわらず、グリーンランドの一部の氷床はほかの場所よりも気温上昇に比較的よく耐え、あまりとけなかった可能性があることがこれまでの研究で示されていた。

 そのため今後温暖化が進んだとしても、グリーンランドや南極の巨大氷床は、今後数世紀にわたり比較的安定を保つのではないかと考えられていた。

 しかしデンマーク・コペンハーゲン大学(University of Copenhagen)のBo Vinther氏が主導する研究チームは、氷床とその周辺の6か所から採取した氷のサンプルを分析・比較し、場所によって当時のグリーンランドの氷床がとける勢いに差があったのは、標高の違いによるものだという結論に達した。「高さによって気温は異なる」とVinther氏は解説する。

 つまり、当時のグリーンランドでも気温に応じて、氷床全体が均一な勢いでとけていたということになる。今後温暖化でグリーンランドの気温が数度上昇すれば、大陸サイズの氷床が急激にとけ始め、従来の予測を超える大幅な海面上昇につながるおそれもあるという。グリーンランドの氷床は海面を約7メートル上昇させるだけの水を含んでいる。(c)AFP