【9月16日 AFP】アフリカの奥地でマウンテンゴリラの保護に命をかけた女性霊長類学者ダイアン・フォッシー(Dian Fossey)の実話を映画化した『愛は霧のかなたに(Gorillas in the Mist)』に出演し、世界で最も有名なマウンテンゴリラとなった「タイタス(Titus)」が14日、ルワンダの山中で死亡した。35歳という高齢だった。

 ルワンダの公園管理当局によると、タイタスは同国北西部のヴィルンガ(Virunga)山地で暮らしていたが、前週になって病気で動けなくなっていたという。

 英BBCが2008年、「タイタス:ゴリラ・キング」と題するドキュメンタリーを制作したこともあり、タイタスは「ゴリラ・キング」の名称でも知られていた。

 タイタスは、その生涯を通じて研究者らにつぶさに観察されてきた。なかでも最も有名なのは、1970年代にタイタスの群れを観察していたダイアン・フォッシーだ。フォッシーは人里離れたヴィルンガ山中の小屋に独りで暮らし、大好きなゴリラたちに囲まれる日々を送った。密猟者やゴリラの生息地で牛を放牧する村人たちからゴリラを守ろうと、孤独な闘いを続けたが、1985年に何者かになたで切りつけられ、命を落とす。フォッシーの生涯は、ハリウッド映画『愛は霧のかなたに』で永遠に刻まれることとなった。

 タイタスとフォッシーの絆は、今後も途絶えることはないだろう。タイタスは、フォッシーの小屋の跡地のそばに作られたゴリラの墓地に葬られることになるからだ。

 埋葬の日程は未定だ。群れのゴリラたちがタイタスの死を悼み、死骸を清めようとしているため、死骸を移送するのは現時点では難しいという。(c)AFP