【8月1日 AFP】オーガニックフードと従来の方法で生産された食品の間には栄養面で大きな違いはないとする論文が、7月29日発行の米健康・栄養関係専門誌「American Journal of Clinical Nutrition」に掲載された。

 オーガニックフードとは化学肥料や農薬などに頼らずに栽培した添加物を含まない食品のこと。近年人気を集めているが価格が高いため、世界的な金融危機が起きてからは、消費者が購入をためらう傾向にある。

 この研究報告は、オーガニックフードと従来の方法で生産された食品の栄養価と健康への影響について過去50年間に発表された研究をもとにロンドン大学衛生熱帯医学大学院(London School of Hygiene and Tropical MedicineLSHTM)の研究チームがまとめたもの。

 筆頭執筆者のアラン・ダングール(Alan Dangour)博士によると、オーガニックフードと従来の食品を比較したところ、栄養面でわずかな違いしかみられなかったという。

「栄養面からすると、従来の方法で作られた食材よりもオーガニックフードを選ぶべきだという風潮を支持する根拠は現段階では何一つないといえる」とダングール博士は指摘した。

 一方、オーガニックフード支持者は有機栽培には環境保護の面で利点があると主張する。持続可能な発展に関する政策などを監視する英国の政府機関「持続可能な発展委員会(Sustainable Development Commission)」のアンドリュー・リー(Andrew Lee)氏は英ガーディアン(Guardian)紙に寄稿し、「有機栽培は、土壌の保護、生物の多様性維持、温室効果ガスの除去、収益の向上などの点で効果的だ」と指摘した。(c)AFP