【6月20日 AFP】世界自然保護基金(WWF)と世界クジラ・イルカ保護協会(Whale and Dolphin Conservation SocietyWDCS)は19日、主要捕鯨国の日本とノルウェーが捕鯨産業を支援するため巨額の税金を無駄につぎ込んでいると批判する報告書を発表した。

 捕鯨と鯨肉販売に関わる直接・間接費を調査分析した報告書は「捕鯨に巨額の補助金がつぎ込まれているのは明らか。日本もノルウェーも捕鯨産業に補助金が充てられている。補助金がなければ商業的には良くて最低限の利益が出る程度で、ほぼ間違いなく赤字になっているはずだ」と指摘している。

 日本での鯨肉の需要は減少傾向にあり、価格はここ10年で半額程度に下落。報告書によると、政府は2008年度の捕鯨産業の赤字補填のため1200万ドル(約11億5000万円)を拠出。1988年以降の補助金累計額は1億6400万ドル(約158億円)に上るという。

 一方、ノルウェーは1993年以降、捕鯨産業を直接・間接的に支援するため、累計2000万ドル(約19億2000万円)を費やしたという。1986年、国際捕鯨委員会(International Whaling CommissionIWC)は商業捕鯨モラトリアムを開始したが、ノルウェーとアイスランドの2国はその後も商業捕鯨を続けている。

 WWF幹部は「世界経済危機のなか、基本的に発展する見込みのない業界を支援するため貴重な税金を投入するのは戦略的でもなければ適切でもない」と指摘した。

 報告書はIWC総会が22日にポルトガルのマデイラ島(Madeira Island)で開幕するのを前に発表された。(c)AFP