【5月28日 AFP】気候変動は家畜の間にウイルス性疾患をまん延させ、人間にとっても危険な病原菌を拡散させている――。パリ(Paris)に本部を置く国際獣疫事務局(World Organisation for Animal HealthOIE)は27日、このような報告書を発表した。

 報告書によると、加盟国126か国に対する調査で、気候変動が動物の健康に及ぼすと思われる影響を「非常に憂慮している」と回答した国は、全体の71%にのぼった。

 また、全体の58%が、気候変動に関連した家畜の病気が国内で1例以上確認されたと回答した。病気の種別では、ブルータング病、リフトバレー熱、西ナイル熱が最も多かった。ブルータング病は吸血昆虫が媒介し、ヒツジの感染例が多い。リフトバレー熱は主に家畜が感染するが、感染した肉を触るなどすると人間にも感染する。西ナイル熱は、感染した鳥から蚊を媒介として、動物のみならず人間にも感染する。

 国連(UN)の「気候変動に関する政府間パネル(Intergovernmental Panel on Climate ChangeIPCC)」は2007年、気候変動により、病原菌をもつ昆虫の生息域が広がる可能性があるとする報告を行っている。(c)AFP