【1月26日 AFP】地球温暖化の影響で、海洋生物が生息しない「デッドゾーン」と呼ばれる酸欠海域が増える可能性を指摘したデンマークの研究結果が25日、英科学誌「ネイチャー・ジオサイエンス(Nature Geoscience)」電子版に掲載された。

 デンマーク技術大学(Technical University of Denmark)の科学者らが、二酸化炭素(CO2)濃度の変化を中心に、地球における今後10万年の気候変化のシミュレーションを行ったところ、CO2濃度は2100年までに、最低でも現在のおよそ2倍の549ppm、最悪の場合は現在の3倍の1168ppmまで上昇すると予測された。

 気温についても、産業革命前と比較して摂氏2~4度、最悪の場合は摂氏5~7度も上昇する。これによって海中の水温も上昇し、海洋循環の速度が低下。その結果、海中酸素濃度が低下し、魚類や海洋生物が生息できない「デッドゾーン」が誕生する。こうして生まれた「デッドゾーン」は、少なくとも1500年から2000年間は存在し続けることになるという。

 研究チームはAFPの取材に対し、「『デッドゾーン』の誕生は今日明日に差し迫った話ではないが、21世紀末には徐々に姿を見せ始めるだろう」と話した。

 研究結果を受けて「ネイチャー・ジオサイエンス」誌は、海中酸素濃度の低下は、海洋生物の種の多様性にとって根本的な脅威となると警告している。

 コペンハーゲン大学(University of Copenhagen)のゲイリー・シェイファー(Gary Shaffer)氏は、現在と同様に、人類にとって将来も海が食の宝庫である可能性は低いと懸念し、海中の酸素濃度低下や酸性化などを防ぐため、化石燃料の排出量削減が不可欠だと訴えた。

 「デッドゾーン」は現在も、農業用肥料などが流出し藻の大発生で酸欠状態となった浅瀬などに存在する。(c)AFP