【9月18日 AFP】猛暑の夏にさらされた植物や土壌は、回復までに最大2年を要するという発見が、17日発行の英科学誌「ネイチャー(Nature)」に発表された。植物や土壌がCO2(二酸化炭素)を大気中から取り除く「スポンジ」の役割を果たすことは知られているが、気球温暖化への対策の上で、こうしたダメージからの回復の遅れについても考慮する必要がありそうだ。

 米ネバダ州(Nevada)リノ(Reno)にある砂漠研究所(Desert Research Institute)は、オクラホマ州(Oklahoma)中央部の草原の土壌を生態系はそっくりそのまま縦2.4メートル、横1.2メートル、深さ1.8メートルで切り出し、コンテナサイズの4つの実験室に入れて4年間、CO2の水準などを観察した。
 
 うち2つの実験室では、過去7年間のデータをもとに、光度、気温、雨量などの現地の気候が忠実に再現された。残り2つの実験室では、急激な温度上昇からの回復を見るために、実験2年目に「猛暑」を作り、気温を4度上昇させた。すると「猛暑」を作った実験室では、CO2の吸収量がその年と翌年にかけて、通常のままだった実験室の3分の1にとどまったことがわかった。

 4度の気温上昇は、国連(UN)の気候変動に関する政府間パネル(Intergovernmental Panel on Climate ChangeIPCC)が前年予測した21世紀の気温上昇を世界平均した場合の最大上昇幅だ。実際の気温上昇は徐々に、そして小幅に起こるもので、実験のような前年比ベースでの急激な上昇ではない。

 しかし、DRIのJay Arnone教授は、4度の上昇を試みた根拠について、サンプルとなった現地の1873年から1999年までの観測記録から、異常に暑かった年の温度を8~11年分抽出したデータに基づいたと述べた。これらの年では例年に比べ、1度から3.8度の高温が記録されたが、干ばつは伴わなかったという。
 
 今回の発見は、併せて地球の表面積の20%を覆う草地と森林に対する猛暑の影響をとらえた重要なものだとArnone教授は語った。(c)AFP