【9月10日 AFP】西側諸国の反GM(遺伝子組み換え)ロビー団体は、アフリカでの収量アップにつながる可能性がある現代農法の開発を妨げようとしている。英リバプール(Liverpool)で8日開催された科学の祭典で、英政府の元主任研究員が、このように指摘した。

 デビッド・キング(David King)教授によると、西側諸国では有機農法が盛んになっており、環境保護団体やメディアは「GM作物」に強硬に反対している。西側諸国はこうした姿勢をアフリカにも浸透させて伝統農法を奨励しようとしているが、それが(南アフリカを除き)壊滅的な結果をもたらしているという。「有機農法は、食糧がふんだんにあるコミュニティーのみが選択できるライフスタイル」だと教授は言う。

 また、西側諸国のNGOや環境保護団体の反科学的・反テクノロジー的態度が、アフリカの苦境の源になっていると語った。「彼らが奨励する伝統農法が、アフリカの膨大な人口に食糧を供給できていないことは、明らかだ。GMテクノロジーを使えば、塩分濃度の増加や洪水・干ばつに強い作物を開発できる可能性がある」

 ここ最近は世界的な食糧価格の高騰と、それに伴う飢餓・暴動の広がりにより、バイオテクノロジーは政治課題として急浮上してきている。また、世界各国の金融引き締め政策と景気後退のなかで、人々が安い食糧を求める中、値段の高い有機野菜をわざわざ買うべきなのかとの議論もある。(c)AFP