【7月12日 AFP】米環境保護局(EPA)は11日、温暖化ガス排出の規制について報告書を公表し、規制に関する一切の決定を延期したと発表した。

 米連邦最高裁は前年、EPAに対し、大気浄化法(Clean Air Act)の下で自動車の温暖化ガス排出規制を行うよう命令を下しており、EPAはそれを受けて規制を決定する方針だった。

 しかし、EPAは588ページに上る報告書の中で、問題の複雑性と重大性から、同法で温暖化ガス排出が効果的に規制できるか疑わしいとの見解を示した。

 EPAのスティーブン・ジョンソン(Stephen Johnson)長官は、「非常に複雑で、さまざまな意見があり、法的な議論が行われている問題」にコンセンサスを取り付けるよりも、他の政府機関の意見を報告書にまとめ、それについてのコメントを120日間の検討期間に出してもらうほうがよいと考えたと述べた。

「1つ明らかなことは、将来において大気浄化法で温暖化ガスを規制することになると、EPAの権限はかつて無いほど拡大し、事実上経済の全てのセクターと、米国のすべての家庭に影響を与えるようになるということだ」(ジョンソン長官)

 観測筋は、この遅れにより実質的な規制は米国の次の政権に委ねられることになるとしている。(c)AFP