【7月10日 AFP】地球温暖化と環境汚染により、世界中でサンゴ礁の破壊が進む中、カリブ海(Caribbean Sea)で現在、良好な状態のサンゴ礁はわずか25%にすぎないという。米フロリダ(Florida)州フォートローダデール(Fort Lauderdale)で7日から開催されている「第11回国際サンゴ礁シンポジウム(International Coral Reef SymposiumICRS)」で、米海洋大気局(National Oceanographic and Atmospheric AdministrationNOAA)が報告した。

 NOAAによると、太平洋など世界のほかの地域では、70%近くのサンゴ礁が繁栄しているか良好な状態にあるが、米州近海では約半分が、かろうじて生き延びているか、もしくは「不健康」な状態で「対策が絶対的に必要だ」という。

 サンゴ礁の悪化を阻止し、脅威を減らすには、二酸化炭素などの温室効果ガスの排出や、肥料の使用量の削減、さらに錨(いかり)による損傷の防止や、宝飾用サンゴの販売中止も必要だという。

 マイアミ大学ローゼンスティール海洋大気科学校(University of Miami Rosentiel School of Marine and Atmospheric Science)のDiego Lirman教授はAFPに対し、「過去数年のハリケーンで甚大な被害を受けたジャマイカ、ドミニカ共和国、メキシコ沿岸のカリブ海では、サンゴの生息地が大きく減少した」と説明する。

 同教授によると、太平洋には500種類以上のサンゴが生息しているのに比べ、カリブ海地域には60-70種しかいないという。そして、カリブ海では500年以上前からサンゴ礁の基礎構造を築いてきた最古の部分の大半が、死滅してしまったという。さらに、サンゴ礁の減少は世界規模で起きているが、カリブ海地域ではサンゴ礁の回復速度が徐々に遅くなっていることも、問題を拡大しているという。

 一方、フロリダ州環境保護局によると、開発や乱獲もサンゴ礁にとって脅威となっている。世界で3番目に長いサンゴ礁の生息域を有するフロリダでは、沿岸の人口が過去20年間で64%増加し、開発がサンゴ礁を脅かしているという。

 国際的な漁業基地として知られる同州では、漁業活動もサンゴ礁保全にかかわる大きな懸念となっている。サンゴ礁にとって栄養の妨げとなりうる海藻類は、魚が餌とすることで繁殖が抑えられ、これによりサンゴ礁が良好な状態に保たれるからだ。

 4年に1回開催されるこのシンポジウムは5日間の日程で行われ、114か国から約2500人の専門家、環境保護活動家、政府関係者らが集まる。(c)AFP/Juan Castro Olivera