【7月3日 AFP】絶滅危惧(きぐ)種はこれまで考えられていたより百倍多い可能性があるとの研究結果が、2日の英科学誌ネイチャー(Nature)に発表された。

 論文によると、種の個体間の違いが見落とされており、野生動物の絶滅の危険性が軽視されてきた可能性があるという。

 研究チームを率いた米コロラド大学(University of Colorado)のBrett Melbourne教授はAFPに対し、「これまで絶滅の可能性が比較的低いと考えられてきた個体数の多い種の多くが、危機にひんしていることになる」と語った。

 世界最大の自然保護機関「国際自然保護連合(International Union for Conservation of NatureIUCN)」によると、現在、絶滅の危機に瀕している種は世界で1万6000以上にのぼり、絶滅のおそれのある生物種を示すIUCNの「レッドリスト」には、ほ乳類の4種に1種、鳥類の8種に1種、両生類の3種に1種が指定されている。

 Melbourne教授は論文の中で、そのようなリストの作成に使用される現在の手法では、2つのリスク要因しか考慮されていないと指摘。1つは、インドに生息するトラや希少種のクジラなど、個体数の少ない種での個体の死で、もう1つは、繁殖や死に影響を与える生息地の破壊や気候変動といった環境条件だという。

 しかし、研究チームは、絶滅のリスクをもっと正確にとらえるには、さらに2つの要因を考慮に入れる必要があると主張。1つは、種のオスとメスの比率、もう1つは個々の個体の生死についてのより広い定義だ。

 これらの要因の変化によって、脆弱な種が、例えば生息地の減少などによる個体数の急激な変化にも耐え得るかどうかを決定できるという。(c)AFP