【3月25日 AFP】2億5000万年ほど前のペルム紀(Permian era)終わりに起き、海洋生物の95%、陸上生物の70%が死滅したとされる「大絶滅(Great Dying)」の原因を説明する主要な仮説を否定する研究結果が、23日の英科学誌「ネイチャー・ジオサイエンス(Nature Geoscience)」に発表された。

 この事象は数百万年もの歳月をかけて発生したとされ、徐々に増えつつある手掛かりはそのすさまじさを証明してきた。不気味に変異した植物胞子の化石が世界中で見つかったこともあった。しかし、明らかでないのは、何がこの「大絶滅」を引き起こしたかということだ。

 英シェフィールド大学(University of Sheffield)のデービッド・ビアリング(David Beerling)氏率いる研究チームは、海の酸素量が減少、硫黄量が増加して海洋生物が絶滅したとする主流の仮説を否定した。

 仮説の内容はこうだ。海から立ち上った硫化水素(卵が腐ったときに発生するのと同じ化学物質)の雲が、活発な火山活動の副産物として放出されたメタンと相まって、成層圏にあって太陽からの紫外線B波を遮断するオゾン層を攻撃。地上生物は有害レベルの硫化水素に毒され、DNAは太陽放射でずたずたにされ、死滅した。

 研究チームはこの仮説を試すため、大気化学の2次元コンピューターモデルを作成した。これを用いて計算を行った結果、熱帯地方の低高度の大気が酸化緩衝帯として働き、硫化水素がオゾン層に深刻な被害を与えることを食い止めたとの結論を得た。

 研究は「これらの気体が陸上生物の絶滅を引き起こした原因とは考えにくい」と結論付けている。

 その他の説としては、隕石(いんせき)が衝突したとする説や、短時間の火山活動で生物を死滅させる酸性雨と地球温暖化が発生したとする説などがある。(c)AFP