【12月6日 AFP】国際自然保護NGO、世界自然保護基金(World Wide Fund for NatureWWF)は6日、森林破壊と気候変動によって2030年までに、アマゾン(Amazon)の熱帯雨林の最大60%が消滅または破壊され、世界各地に連鎖的に影響を及ぼすと警告する報告書を発表した。

 WWF報告書は、現在インドネシアのバリ(Bali)島で開催されている国連気候変動枠組み条約(UNFCCC)の第13回締約国会議(COP13)で発表された。世界の主要な二酸化炭素吸収源のひとつであるアマゾンが、気温上昇によって干ばつの危機にさらされており、また森林破壊は「地球の肺」と呼ばれるアマゾン一帯に深刻な被害をもたらしかねないと警鐘を鳴らした。

 また同報告書では、アマゾンの森林破壊が影響し、2030年までに大気中に排出される二酸化炭素の量は、555億トンから969億トンに増える恐れがあると指摘している。

 報告書の著者であるダニエル・ネプスタッド(Dan Nepstad)氏は、「地球の気候にとってのアマゾン熱帯森林の重要性を過小評価することはできない。世界の気温を下げるために欠かせないだけではなく、巨大な真水の水源で、大きな海流にも影響を与えるに十分だ。その上、膨大な二酸化炭素の吸収源でもある」と語った。

 地球温暖化は二酸化炭素などの温室効果ガスが太陽からの熱を閉じ込めることによって起こるもので、地球表面を暖め、気候システムを損傷する。森林減少に伴う温室効果ガスの増加は、温暖化を促す一因となる。

 WWFによると、アマゾンの破壊は、インドや米国など地理的に離れた地域へも連鎖反応し、降雨量が減少し作物の生育が抑制されるといった被害が予想される。アマゾンの森林減少の主な原因は、森林を大規模なウシの放牧地に転換するための山焼きで、大豆栽培のための農地拡大も新たな脅威となっている。

 Nepstad氏は先進国に対し、温室効果ガス削減のために全力を尽くすよう呼び掛けるとともに、それにより同時にアマゾンを救うことができるだろうと訴える。

 COP13では世界各国・地域の代表らが、2012年に期限切れとなる京都議定書(Kyoto Protocol)後の気候変動対策における枠組み作りに向けて、時間枠を設定しようと協議している。森林破壊に対する取り組みは、COP13の重要議題の1つと位置づけられている。(c)AFP