【12月5日 AFP】インドネシアのバリ(Bali)島で14日まで開催されている国連気候変動枠組条約(UNFCCC)第13回締約国会議(COP13)で、環境保護団体などは5日、先進国を対象とした拘束力のある温室効果ガス削減の数値目標から日本とカナダが離脱する恐れがあると警告した。

「日本とカナダの姿勢が懸念される。両者の提案は京都議定書(Kyoto Protoco)の長所にまったく基づいていない」と、米国環境トラスト(National Environmental Trust)のアンジェラ・レッドフォード・アンダーソン(Angela Ledford Anderson)氏は指摘する。

 アンダーソン氏によると、日本は強制力のある統一した温室効果ガス削減目標を課すよりもむしろ、各国が自主的な削減目標を設定し、国際社会が進行度合いを検討するシステムにする案を復活させたという。同氏は「最も困るのは、そのほうが米国がより積極的になると日本が考えていることだ。現大統領の下ではそうかもしれないが、最終合意の交渉時には大統領は変わっているのに」と話している。

 また、カナダは会議序盤、削減数値について合意するには、参加国すべてが署名すべきだと主張し、波紋を呼んでいる。環境保護団体などは、「これまでの気候変動の責任は工業先進国にあるのだから、削減数値の負担も多くてしかるべきだ」と強調している。

 8月にオーストリアの首都ウィーン(Vienna)で開かれた気候変動会合では、京都議定書の批准国が、工業先進国について2020年までに温室効果ガスの排出量を1990年比で25~40%削減する必要性があるという見解で一致した。

 自然保護NGO世界自然保護基金(WWF)の代表、Stephan Singer氏は、日本がこの合意事項を守るかどうかは不明となってきたと話す。今回の会議に各国の環境大臣が到着した時点で「この問題を正式な交渉の議題にしたい」と同氏は語る。

 日本とカナダは4日、環境NGO「気候行動ネットワーク(Climate Action Network)」が、会議の進展の障害となった国に対して毎日与えている「化石賞」を「受賞」した。同グループは「排出量削減目標値は京都議定書の核。日本の提案はそれを葬るものだ」と批判した。(c)AFP/Charlie McDonald-Gibson