【10月11日 AFP】(一部訂正)オーストラリア政府は、動画共有サイト「ユーチューブ(YouTube)」を使って日本の子どもたち向けの反捕鯨キャンペーンを開始した。

 同政府が発表した動画クリップは日本語の字幕付きで、楽しげにはねまわるクジラや、クジラへの愛情を伝えるオーストラリアの子どもたちの映像とともに、マルコム・ターンブル(Malcolm Turnbull)環境・水資源相が、豪政府の反捕鯨メッセージを強く呼びかけている。

 同相は「このような素晴らしい動物が存在しない地球に住むことを想像できますか」「すべての国々、特に私たちと親しい日本の国に、捕鯨計画をやめるよう勧告しています」などと訴えている。ユーチューブは若者を中心に数百万人の利用者がいる。

 日本は国際捕鯨委員会(International Whaling CommissionIWC)が採択した商業捕鯨の一時禁止(モラトリアム)の抜け穴を利用して、調査捕鯨を名目に南極水域で毎年数百頭以上のクジラを捕獲している。また捕獲後のクジラの肉が食用となっている事実を隠していない。

 オーストラリアでは、日本が今年初めて、ザトウクジラを捕獲対象とすると発表して以来、世論の怒りが拡大している。ザトウクジラは毎年繁殖のためにオーストラリア沿岸を北上することから、オーストラリアでは「わたしたちのクジラ」と呼ばれている。

 このクジラの移動は速度が遅く、雄大な光景として知られ、ホエール・ウォッチングに年間で約150万人の観光客を集め、2億2500万ドル(約265億円)の経済効果を上げている。

 ユーチューブの動画クリップの中でターンブル環境相は、数百年にわたる捕鯨活動で減少したクジラの個体数が、国際社会の努力によって回復していると評価する一方で、「まだ科学調査という名目の下にクジラを殺している国がある」と指摘している。

 日本政府は毎年捕獲している約1000頭に加え、南極水域でザトウクジラ50頭を捕獲する計画を発表している。ターンブル環境相は今年初め、この計画について「必要以上に挑発的だ」と非難し、「ザトウクジラを捕獲リストに加えることは、オーストラリア国民の日本に対する認識に悪影響を与えるということを、日本政府は理解すべきだ」と警告した。(c)AFP

ユーチューブに掲載されたオーストラリア政府投稿の動画クリップ

国際捕鯨委員会(IWC)の公式HP(英語)