【8月10日 AFP】国連(UN)の世界気象機関(World Meteorological OrganisationWMO)は10日、2007年に入り世界各地で発生している洪水、熱波、大雪などの異常気象は気候変動によるものではなく、単に頻度が増しているだけだとする報告書を発表した。

 報告書によると、「極端な気象現象」の増加傾向は過去50年間にわたって観測されているという。また、2007年1月以降、世界各地で極端な気候や気温などの異常現象が記録されていることも指摘している。

 一方、先に国連の「気候変動に関する政府間パネル(Intergovernmental Panel on Climate ChangeIPCC)」が発表した報告書は「地球で温暖化が進行しているのは明らかだ」と結論づけている。

 IPCCは、今年の1月と4月に地球の表面温度が観測史上最高の水準を記録したとする観測結果を報告。気候変動予測によれば、極端な高温や熱波、豪雨などの異常気象が発生する頻度は、今後さらに増えるとみられている。

 このほか、米国の国立大気研究センター(US National Center for Atmospheric Research)とジョージア工科大学(Georgia Institute of Technology)の合同調査は、大西洋でのハリケーン年間平均発生件数が1世紀前と比較してほぼ倍増していることを指摘。その原因として、気候変動による海面温度の上昇や気流の変化をあげている。

 ただ、最近の「極端な気象現象」が地球温暖化に起因するものと断定するには十分な証拠が揃っていないと警告する気象学者も少なくない。また、「極端な気象現象」が増加しているとの見方を否定する学者もいる。

 英国気象庁のBarry Gromett氏は、「『極端な気象現象』の多くは、温室効果ガスだけでなくエルニーニョ現象などさまざまな気象現象の影響を受け、気候が多様化したことに起因している」と主張する。

 また、IPCCフランス代表の気象学者Jean Jouzel氏は、「極端な気象現象」と地球温暖化との関連性の有無を判断するには、今後数年間の観測が必要だと考えている。

「本当に極端な気象現象が増えているかを見極めるのは簡単ではない。『極端な気象現象』はまれな現象であり、統計を出すのに十分なデータがまだ揃っていない」(c)AFP