【6月7日 AFP】米下院の与野党議員226人は6日、日本など一部の「為替操作」国によって「世界経済全体がゆがめられている」として対応を求める連名の書簡をバラク・オバマ(Barack Obama)米大統領に送った。

 環太平洋連携協定(Trans-Pacific PartnershipTPP)交渉が進むなかで提出された書簡のなかで、議員らは「為替レートが国際貿易に強く影響するなかで近年、為替操作によって米国の貿易赤字が拡大し、米国人から雇用を奪っている」と不満を示し、為替操作という行為だけで最大100万人分もの雇用が「国外に流出した」と断定。さらに「これは米国単独の問題ではない。各国通貨の不均衡によって、世界経済全体がゆがめられている」と非難した。

 ジョン・ベイナー(John Boehner)下院議長やナンシー・ペロシ(Nancy Pelosi)民主党院内総務ら米下院指導部4人は書簡に署名していないが、ポール・ライアン(Paul Ryan)下院予算委員長(共産党)やクリス・バンホーレン(Chris Van Hollen)下院議員(民主党)などの有力議員が署名に名を連ねている。

 TPPへの日本参加がほぼ確実となるなか、議員らは日本を主要な為替操作国と名指しし、安倍晋三(Shinzo Abe)首相の政策は「市場をゆがめている」と批判した。

 米議員で最長就任記録を7日に達成したジョン・ディンゲル(John Dingell)議員(民主党)は、「日本は歴史的にも、輸出促進のために円相場を操作してきた。日本が米国との自由貿易で利益を享受するつもりなら、こうした習慣をこのまま容認しておくわけにはいかない」と言明している。(c)AFP