【1月20日 AFP】「アクロポリス(Acropolis)貸します」――ギリシャ文化省が17日、同国の最も重要な遺跡群の一部を広告会社などの企業に貸し出すと発表した。財政危機に苦しむ同国がユーロを稼ぐための苦肉の策だが、国民や考古学者の反発は必至とみられる。

 同省は、遺跡の貸し出しはギリシャ古代遺跡を身近なものにする「働きかけ」に役立つ常とう手段だとして、収入は遺跡の維持や監視にあてると発表した。最初に貸し出されるのはパルテノン(Parthenon)神殿の建つアクロポリスの丘。

 考古学者らは、長年こうした動きを冒とく行為だとして反発してきた。だが文化省は、遺跡の貸し出しには厳しい条件を付けるとしている。

 前年12月末に行われた同省の説明によると、商業写真の撮影用ならアクロポリスを1日わずか1600ユーロ(約16万円)で借りられる。
 
 財源が底をついたギリシャ政府は、3月に起こりうる史上最悪規模のデフォルト(債務不履行)を回避しようと、ユーロ獲得に必死だ。

 2010年の欧州連合(EU)と国際通貨基金(IMF)による救済に続き、ギリシャは2度目の救済に向け交渉中。だが、巨額の債務削減をめぐり、民間企業の債権者との交渉は難航している。

 これまでギリシャの遺跡の商業利用を管轄してきた考古学中央評議会(Central Council of Archaeology)は、遺跡の貸し出しについて慎重な姿勢を取ってきた。
 
 過去数十年でアクロポリスを商業利用できたのは、ギリシャ系カナダ人の映画監督ニア・ヴァルダロス(Nia Vardalos)氏と米国人映画監督のフランシス・フォード・コッポラ(Francis Ford Coppola)氏のみで、映画やコマーシャル撮影での使用は大半が拒否されている。(c)AFP