【8月19日 AFP】今年に入って従業員13人が相次いで自殺した台湾系大手電子機器メーカー、富士康科技集団(フォックスコン、Foxconn)は18日、従業員の士気向上を目的とした「従業員集会」を開いた。

 集会のテーマは「すばらしい未来を築くため、命を尊び、家族を愛し、お互いを思いやろう」。集会は中国各地のフォックスコン工場で行われ、同社は5万~90万人の参加者を見込んだ。

 南部深セン(Shenzhen)にある大規模工場では、中国琵琶による演奏が鳴り響く中、アクロバティックなダンスや曲芸が披露されると、スパイダーマンなど思い思いのコスチュームで集まった従業員の間から拍手や歓声が沸き起こった。会場には「互いにいあわり愛し合おう」と書かれた旗がはためき、設置された巨大スクリーンで他会場の様子が中継された。

 フォックスコンは声明で、「今こそ悲劇を振り返り、学び、従業員たちに1人ぼっちではないという重要なメッセージを伝えるべきときだと感じている。フォックスコン・ファミリーは従業員を支え、助けるためにある」と発表。集会の目的について、「従業員間の団結を促し、公私両面での精神的・金銭的支援を拡充する」ものだと説明した。

 相次ぐ自殺者にフォックスコンは5月、10人目の死亡を受けて従業員らに自殺しないよう念書を書かせ、批判の的となった。その後、同社では自殺ホットラインを設置したほか、追い詰められた従業員の相談に乗る仏教僧とカウンセラーを雇い、監督者らの再教育を約束している。また、従業員の月給も10月から67%増の2000元(約2万5000円)に引き上げる。(c)AFP/Peter Brieger