【5月1日 AFP】(一部更新)経営危機に陥った米自動車第3位クライスラー(Chrysler)は4月30日、ニューヨーク(New York)の破産裁判所に、連邦破産法11条(日本の民事再生法に相当)の適用を申請した。

 政府が支援条件として設定した再建策の提出期限を同日迎えたが、クライスラーの債務約69億ドル(約6700億円)を削減をめぐる米政府と債権者団との交渉が決裂したため。一方、イタリア自動車大手フィアット(Fiat)とは包括提携で合意、破産法の保護下で経営再建を目指す。
 
 バラク・オバマ(Barack Obama)米大統領は同日、記者会見を開き、新たな提携と破産法申請による再建は、米国有数の自動車メーカーであるクライスラーが再生するために「必要な過程」の一環であると強調。「クライスラーがこの過程を経てより強力で競争力のある企業になると確信している」と述べた。

 クライスラーによると、同社組み立て工場の大半は、再建手続きが終了するまで一時的に操業を停止するが、従業員への給与支給は続ける。販売代理店の営業および自動車保証も継続する。

 ボブ・ナルデリ(Bob Nardelli)最高経営責任者(CEO)は、フィアットとの提携が完了しクライスラーが法的管理を脱した後に退任する意向だ。

 フィアットはまず、クライスラー株20%を取得。その後、株式を追加取得し、出資比率を35%まで上げる。また、クライスラーが公的資金による融資を完全返済できた場合、早ければ2013年にも51%まで出資比率を引き上げるオプションも保有する。クライスラーに対する資金援助は行わないが、高燃費の小型車技術などを提供する。

 一方、米国とカナダの両政府は同日、共同声明を発表、クライスラーに法的管理下の運転資金として総額105億ドル(約1兆400億円)の追加支援を行う方針を表明した。(c)AFP