【9月26日 AFP】財務省が26日発表した8月の貿易統計速報(通関ベース)によると、同月の貿易黒字額は前年同月比で3.8倍の7432億円だった。対前年比の増加幅としては、1983年5月以来の24年間で最高となった。

 貿易黒字の急増は、特に自動車業界におけるアジアおよび欧州方面の輸出好調によるところが大きい。

 前7月の貿易黒字額は、新潟県中越沖地震により自動車部品の生産が一時停止したなどの影響で、半年間で初めてのマイナスとなる21.7%減となったが、翌8月の数字は市場の期待を大幅に上回る結果となった。

 これにより、米サブプライムローン(低所得者向け住宅融資)の焦げ付き問題による米経済の鈍化や原油価格の高騰による悪影響が相殺された形だ。
 
 一方、輸出額は14.5%増の7兆301億円、輸入額は5.7%増の6兆2900億円だった。

 低迷する株価や第2四半期のGDP(国内総生産)成長率の縮小などをうけ、日本経済の健全性への懸念が広まるなか、輸出のみが好材料を提供しているかたちだ。

 輸出の好調により、日本経済の回復基調も今後数か月間は維持されると見る向きが多い。

 アジア方面への輸出は16.4%増、欧州方面は15.6%増だった。対照的に、米国方面への輸出は4.6%増と低い伸び率となった。

 輸出好調の牽引力となったのが自動車で、前年同月比で22%増と大きな伸びをみせた。通信機器も好調だった。

 地域別の貿易黒字額は、対米国では輸出入とも低下した結果、15.0%増の7192億円だった。対照的に対アジアでは、対中国赤字が44.4%減少し1465億円となった結果、63.3%増の8434億円に急騰した。対欧州連合(EU)では27.5%増の3146億円となっている。

 一方、対中東では貿易赤字額が11.9%増の9440億円となった。

 RBS証券(RBS Securities)東京支店のチーフエコノミスト、山崎衛(Mamoru Yamazaki)氏は、「アジア経済は引き続き強成長が続くとみられ、これに伴い日本の輸出好調も続く。これにより、米経済の鈍化による影響を相殺できるだろう」とみる。

 しかし、しばらく記録更新を続けた原油先物価格も、前週には落ち着きを取り戻し、日本の貿易黒字が今後も拡大するか否かは原油および日用品などの価格動向によるというのが大方のアナリストの見方だ。(c)AFP