【9月17日 AFP】米国の低所得者向け(サブプライム)住宅ローン問題に端を発した世界的な金融市場の信用収縮から資金繰りが悪化した英第5位の住宅金融大手ノーザン・ロック(Northern Rock)で、顧客の預金引き出しが続き、週末を挟んで株価が急落している。米サブプライムローン問題で英国の主要金融機関が深刻な影響を受けたのは、同社が初めて。

 イングランド北東部ニューカッスル(Newcastle)に本社を置く同社は前週14日、業績を大幅に下方修正。英中央銀行イングランド銀行(Bank of England)が、具体的に上限を定めない緊急金融支援を行うと発表した。

 これを受けて前週末14日の同社株は、31.46%下落の438ペンス(約1005円)で取引を終了。週明け17日も大幅続落し、寄り付きで29.0%下落の311ペンス(約714円)となっている。

 ノーザン・ロックおよび英政界は、同社の支払い能力に問題はないとして預金者に平静を呼びかけたが、同社の各店舗には14、15両日、預金を引き出すために顧客が殺到、取り付け騒ぎに近い様相を呈した。報道によれば、金融支援発表後に引き出された預金額は約20億ポンド(約4610億円)に上るとされる。

 17日も預金引き出しの流れは続くとみられ、同社は各店舗の開店時間をそれぞれ2時間早めることを決定した。

 各国の民間金融機関は、焦げ付きが懸念される米国のサブプライム関連投資を中心に、銀行間の貸し付けに神経質になっており、ノーザン・ロックのような金融機関の顧客への貸出資金不足を誘発している。

 アナリストらは、同社が破たんする可能性は低いと見ているが、アダム・アップルガース(Adam Applegarth)CEOは16日、サンデー・テレグラフ紙(Sunday Telegraph)のインタビューで、株価急落によって同社が買収のターゲットとなる可能性を示唆した。(c)AFP